オデッサファイル

ナチスの残党を追いかけるサスペンス映画。第二次大戦後、ドイツ国内で大戦がどのような扱われてきたのか、垣間見れる秀作だ。

名や顔を変え、悪びれることなく生活し、どこかの機会でユダヤ人への復讐を果たそうとするかつてのナチス。日本にいると、なかなか知ることのできない歴史でもある。

なぜ、一介のジャーナリストがある男への復讐に命を賭けるのか。それは終盤明らかになるのだが、主人公の葛藤を描くのに効果的なエピソードとなる。

また、宿敵の描き方は政治的な狙いなのか、とにかく情けない。主人公自身も、こんなやつのために、、、と呟くのだが、それは、後世この映画を見た人が、ナチスへのヒロイズムを感じないように、憧れの対象にしないために、あえてそうしたのかな、とも感じた。

あと、冒頭のイスラエルとエジプトとの話は日本人には分かりにくいかもしれない。全てモサドの狙いでもあったところでもある、という伏線はもう少し説明した方が、話として分かりやすいのかとも思った。

戦後の中東情勢は非常に複雑で、また様々な思惑が絡み合うところでもあるので、はっきりとは言えないのかもしれないが、ちょっとだけ勿体無い。

しかしながら、手に汗握るサスペンス映画として、強くお勧めしたい一本だ。