佐渡裕

僕はいかにして指揮者になったか、という本を読んだ。

自伝なので、そもそもこの佐渡裕氏に興味がないと何の面白味もない。

私はたまたま、この佐渡裕氏が指揮を振るオーケストラを聴きに行く機会があった。奥さんとの海外旅行中、どうしても海外のホールでオーケストラを聴きたい、という私のわがままにより行くことになったコンサートで、偶然、佐渡裕氏が指揮をしていたのだ。これはなかなかの巡り合わせ。コンサートに合わせて旅行を組んだわけではないので、旅行期間中でやっているコンサートを選ばないといけない。ちなみに場所はベルギーだ。

ヨーロッパでオーケストラを聴くだけで満足していたものの、佐渡裕氏の躍動感ある指揮に少なからず興奮した。クラシック、というと、どこか高尚で澄ました印象があるものの、佐渡裕氏は、ダイナミックで、とても人間的な魅力を感じられた。大変失礼だとは思うが、帰り道に佐渡裕氏のことを"佐渡っち"と愛称をつけて話題にしていた。

私が無知で、これまで佐渡裕氏のことを知らなかっただけで、本当は大変高名な、有名な人だというのは帰国後に知った。そんな折にこの本を見つけ、手にとってみた、という経緯だ。

本には、佐渡氏の天才ぶりと、努力と、信じる強さが、小説のようなエピソードとともに記載されている。

読んだ後、あぁ、また佐渡裕氏の指揮するオーケストラを聴きに行きたい、そしてあわよくば会ってみたい、そう感じさせられた。

偶然のきっかけであったものの、もうすっかり佐渡裕ファンになっている。遠くの席から見た印象だけなのに、その時に感じた魅力と、私の直感は正しかったようだ。