海底二万里

ベルヌ作の長編冒険小説。
古典であり、名作と呼ばれる。

フランス行きに先駆け、フランスの作家を読もうと選んだ一冊。80日世界一周は読んだことがあり、そのラストに驚き感動した。

同じベルヌの代表作。さすがの描写力と、長い話を飽きさせないストーリーで、最後まで楽しんで読めた。海の冒険を楽しみつつ、最後はどうなるんだろう、と関心を変えていけるところが見事だった。
ただ、ラストそれ自体は80日世界一周に比べるとスッキリしない。謎が謎のまま終わるような感覚だ。

ネモ船長というミステリアスなキャラクターと、陸地への帰還を願いながらも、研究心を駆り立てられ、海底の旅に魅了されるアナロックス教授。同行するネッドやコンセイユの振る舞いを受けつつ、揺れ動くアナロックスの心情がとても丁寧に描写されていて、感情移入もしやすい。

地理的な知識や、生物学の細かい描写など、やりすぎなくらい具体的な説明は、教授を教授たらしめている要素だ。この部分を、知っている知識で補完するか、想像しているか、このどちらかがないと、この話は冗長で退屈なものになるだろう。

少年は想像し、大人はなるほど、と読める。この話が愛されるのは、そうやって読み手を巻き込みながら冒険をしていけるからなんだろう。

この歳になり、初めて読んだが、読んで良かった。