北斎殺人事件

葛飾北斎といえば、浮世絵の第一人者。
日本以上に世界で評価され、大英博物館には日本の美術館以上にコレクションがあるという。

富嶽三十六景を始め、ダイナミックな構図と色彩は日本文化の象徴といっても過言ではない。日本画、特に美人画などはあまり関心がないが、北斎の風景の浮世絵はとても魅力的に感じられる。

しかしながら、その作品の高名さに比べると、書き手の北斎自身についてはあまりよく知らない。そう思って北斎のことを知りたくなって購入した。

これが大当たり。
北斎=スパイ説という学説(?)が、あたかも事実なんじゃないかと思わせる考証のうまさ、そしてそれにちなんだような殺人事件、、、殺人事件の部分のシナリオはさすがにフィクションだと思いながら読み進めるのだが、北斎の歴史については事実なんじゃないかと、いまだに思っている。

北斎の浮世絵をちゃんと見に行きたくなり、そしてもっと北斎のことを知りたくなる、そういう力のある小説だった。本当に、本当に、北斎はスパイだったんじゃなんじゃないか・・・。今もまだ、もやもやが収まらない。